かつて友人の結婚式でバイオリンを弾く機会があった。
その友人は式を挙げなかったので、仲間内で披露宴をやってあげようということで100人規模のパーティを開いたのだった。
2005年7月のことである。
ちょうどバイロリンレッスンを受けて2・3ヶ月が経過した頃のことだ。ト長調・ハ長調音階のレッスンが終わったばかりの頃だ。ここは友人のため、一肌脱いでいっちょ演奏をプレゼントしてあげようと考えた。とは言っても一人ではあまりに寂しい。もう一人の友人40)がギターを弾く人だったので、彼が
『何か分かりやすい曲をやろう、俺はカントリーロードとかすきなんだな』
と言うので、じゃあそれでということになった。
とは言っても、当時この曲のことまったく知らなくて・・・恥ずかしいことで・・・
しかしちょうど持っていたジブリ曲集の中に入ってて、それそのまま使おうということになった。
友人もちょうどVnを始めたばかりのころだったが、彼のは自分の以上にひどいものだったし(どっかのフリーマーケットで1000円くらいで買ったらしい?みたところ中国製?)、Vnはムリ。ギターがいい。ということだった。
曲集のピアノ伴奏譜についているコードをそのままギターでならすことに。自分はそのままVnパートを弾く。
3・4回の軽い練習をしていざ本番という日になった。曲はカントリーロード一曲では寂しいのでなにかクラシックを入れたかった。
ということでG線上のアリアを弾くことにした(友人は嫌がったので、これは独奏である)。もちろんG線だけじゃ弾けるレベルなんかにゃなかった頃です。伴奏にはカラオケCDを使用。
“では、次は友人のそうえもん君から曲のプレゼントです。”
ではいざ、参らん。
ぎちっぎちっ、あっ体がかたい・・・。壇上に上る。100人の目が集まる。
あっ、やばい。こんなたくさんの人に見られるなんて経験ないぞ・・・。
たとえ知った顔が多いとは言っても、やはり聴く人が100人もいるというのはプレッシャーであった。
いきなりカラCDが回り始める。おっ、おい!まだ心の準備が!・・・もう遅い。弾くしかないのだった。
そんな心理状態+体ガチガチでは、ボウイングがまともにできない。頭じゃ分かってるのだけど、右手がひじから先の感覚がない。
おもひでボロボロです。
・・・
ま、まぁアリアは置いといて、と。気をとりなおしてカントリーロードいきましょう。
と、ここで友人が壇上から『誰か歌える人いねぇべか〜』といきなりボーカル募集。おい、なに勝手にはじめてんだアンタ。
さらに別の友人の彼女がボーカルとして加わり、三人でやることに。でもこれは結果的にはよかったですね。VnパートとVoはユニゾンになっちゃいましたけど、やっぱ歌とか入るとにぎやかでいい。自分の体も二曲目ということでやっとこ落ち着いてくれて、なんとか曲になってくれました。
人前で演奏するのって、勇気がいるんですね。僕知りませんでしたあ〜。でも、いい経験になりました。ぜんぜんクラシックとはかけ離れてましたが、演奏は人前でやってナンボという気がしました。
終わったあと、花嫁のお父さんがいたく感激したらしく、たいへん喜ばれた。このお父さんは某酒造酒販会社の社長さんで、自分のとことは長らくライバル関係にあったので話もしたことなかったのだけど、話すととてもいい人だった!
お父さんはマイクをとると、突然こんなことを言い出した。
『そうえもん君、今年の夏休み指揮者の小澤征爾さんが町に来るからその時ぜひ紹介してあげよう!』
なんですと?いやいやまさか、世界の小澤さんがこんなド田舎に来るわきゃないっしょ。かなり酔っ払ってるな、おじさん?僕は本気にはしなかったのだった。それにその年の夏休みはフランスに一ヶ月行く予定だったので、どっちみちムリであった。
しかし、あとあと聞いてみると、本当にこのお父さんと小澤氏は知己で夏に来たらしいのだ。(夏のなんとかキャラバン?とかで)
あぁ、なんたること。そんな素晴らしい機会を逃してしまうとは・・・。しかしよく考えてみると、世界を代表する指揮者の方にお会いしたところで、一介のアマチュア奏者が(しかもかなり低レベル)なにを話せると言うのか(笑)
恥じさらさないでよかった反面、やはり会ってみたかったな・・・。
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